2017/5/15 カテゴリー : | 農業
すだちの剪定
伸びすぎた枝をカット
すだちの木が花を付ける前に、伸びすぎた木の枝をカットする「剪定(せんてい)」作業が必要になります。いわゆる木の散髪ですね。前髪が伸びすぎると視界が悪くなるように、木の枝も伸びすぎるとすだちに栄養と太陽の光がいきわたりにくくなるため、不要な枝をしっかりカットする必要があるのですが、この剪定にはいくつかのポイントがあります。この日は今年からすだち作りを始めた新入り農家さんに、すだちの剪定の方法を伝えました。すだちの剪定方法は、みかんやゆずなど、他の柑橘の方法とは異なります。大多数の方にとっては興味をひかない内容かもしれませんが、昔からの伝統を残すという意味で書かせていただきました。
剪定の時期
剪定の時期は農家によって異なります。我が家は3月上旬から5月上旬まで。1月から剪定する農家さんもありますが、遅くてもすだちが花を付けるまでには必ずしておく必要があります。
すだちの剪定のコツ
必要なもの
・剪定ばさみ
・のこぎり
・皮手袋(アームカバーもあると◎)
・癒合剤(ゆうごうざい/枝の切り口に塗る/農協やホームセンターで買える)
すだちの枝の多く剪定ばさみでカット出来ますが、太い枝をカットすることもあり、のこぎりも用意しておくと心強いです。あと、多くの鋭いトゲとがあり、半袖で作業すると傷だらけになるので、必ず長袖を着用し、皮手袋など、厚くて通気性の良い手袋を装着しましょう。アームカバーもあるとなお安心です。太い枝を切る場合、癒合剤を塗ってあげると木への負荷を軽減出来ます。
1.伸びすぎた枝とは?
伸びすぎた枝とはどんな枝でしょうか?剪定が必要な木を見ると、葉が生い茂り長い枝がつき出ています。こんな枝を残すと木が無駄に大きくなり、下の葉に影を落としやすいからです。
あと、下向きに伸びている枝も不要です。こういう枝には日光が当たりにくく光合成が十分出来ないため、栄養が不十分な実が出来やすいためです。
2.枝元から切る
不要な枝を途中からカットしてもまた伸びてくるので、必ず枝元からカットしていきます。
3.木の内側からカットしていく
内側からカットするのは、木の中心部へ向かって伸びてきた枝(内向枝 ないこうし)をカットして、内側の日当たりを良くするためと収穫時に内側の枝が混み合うのを防ぐためです。
4.影を作らないようにする
すだちの木の剪定をするうえで一番大事なのは、全体に均等に太陽の光が当たるようにすることです。枝の下に枝を作らないように枝をカットしたり、残したりして伸ばしていき、木全体に太陽の光が当たるようにすることが、よいすだちを作る上で非常に大切です。
「秋なり」
余談ですが、昨年の秋くらいから成りはじめた実。「秋なり」とか、「遅れ花の実」と呼ばれます。味は・・・渋いです!>_< もちろん取っちゃいます。
すだちの剪定ビフォーアフター
これが同じ木の剪定前後です。1年間でかなり伸びるので、だいぶさっぱりカットしました!このくらい切っても大丈夫です^^
お疲れ様でした!
新人農家さんも、すでに一部自分で剪定してみて疑問点などをたくさん質問してくれて、熱心さが伝わってきました。いろいろ難しいところもあると思いますが、今後もいろいろ協力してやっていけそうな仲間になれる気がしています。 そんな期待膨らむひとときの休憩時間も、農業の醍醐味のひとつです^^
ライター : 大仲さん
大仲さんは一族で長年すだち農家を営むすだちの第一人者です。すだちのことについて尋ねると、尋ねた量の100倍を話してくれます(笑)